修復


修復の経緯

2010年末、神奈川新聞の記者が、荒廃していた1156号が解体されるとの情報を聞きつけ、久良岐公園を管理する横浜市南部公園事務所に保存活動を申し出たことがきっかけです。

 

当時は窓ガラスやドア、前照灯、尾灯、座席などの部品・機器類が全て失われ、とても哀れな姿になっていました。40年近くにわたる屋外展示で風雨にさらされ劣化したことに加え、悪意ある人たちによる破壊、盗難などがその理由です。

 

時を同じくして、公園の近くに本社のある塗装業大手「サカクラ」が、地域貢献の一環でボランティアによる修復作業に協力してくれることになり、横浜市環境創造局、サカクラ、神奈川新聞社の3者で1156号の修復・保存を進めていくための覚書を締結しました。



修復作業の様子

修復作業は足場を組み、2カ月を費やす大がかりなもので、板金は南区の渡辺工業様、窓ガラス関連は県板硝子商工業組合様と旭硝子様、その他にも佐山電気商会様、ヱスビー商会様、カミタ産業様、京浜技研様、湘南スター建設様、竹内化成様などにご協力いただき、失われていた窓ガラスやドアなどを極力再現。前後のライトや室内灯も点灯可能としました。座席は相模鉄道から寄贈していただきました。

 

修復時の様子



修復完了

2012年4月4日に車両の修復が終わり、久良岐公園「横浜市電1156号」修復記念式典が開かれました。横浜の地で再び命を吹き返した小さな電車を見るために、日本各地から多くの人が集まりました。

 

一般公開時の様子



その後

さらに2014年には同局が車両周辺を大規模に改修し、擬宝珠のような飾り「ポールトップ」を載せた架線柱や、架線、それに電照式の電停標識も新調しました。道路から発掘された市電のレールを車両の前後に埋め込むことで、わずかながら路線の“延伸”も実現しました。夕方には車両や電停などに明かりがともり「まるで現役時代のようだ」との声をいただいています。